バイバイン

さて、まずは「バイバイン
 バイバインは5分に1回それをかけたものを倍化させる道具です。
のび太はこれを栗饅頭にかけ倍化、大量の栗饅頭を食べようと画策。しかし満腹になっても栗饅頭がのこってしまい、だんだんと増え続ける。このままでは地球が栗饅頭で埋め尽くされてしまう・・・。ということでドラえもんが宇宙へ栗饅頭を打ち上げてしまう。という話です。
 この話、いくつかの疑問が残ります。

まず第1に・・・バイバインとはどのようなものか?

 この「バイバイン」とはかけた物を倍化させる道具ですが、そもそもどうやって物を倍化させるのでしょうか?
 この世の中には「質量保存の法則」というものが存在します。化学反応前後で関与する元素の種類とおのおのの量は変わらない、という法則です。つまり化学反応によって元素が分裂して増加したり、消滅して減少したり、他の元素に転化したりしない、ということです。(参照:Wikipedia
 つまりバイバインをかけることによって物が倍加する現象が「化学反応」であるとすると、質量保存の法則において「元素が分裂・増殖を行なうことはない」という法則に反します。つまりバイバインの倍化作用は『化学反応ではない』ということになります。
 では、この一連の動作は何が原因で行なわれているのでしょうか?
 もうひとつの方法としては「細胞分裂」による作用が上げられます。つまりバイバインをかけることによって物を構成する細胞の分裂を促進、あふれた細胞によって新たな個体を作成するという現象、ということです。
 しかしこれにも謎が残ります。そもそも作品中でバイバインをかけたのは『栗饅頭」です。細胞分裂が行なわれるのは生体だけではないでしょうか?さらに仮に栗饅頭で細胞分裂が行なわれるとして、それを新たな栗饅頭を作成する理由になるのでしょうか?細胞分裂によって個体を増やすことが出来るのは基本的に単細胞生物だけです。他の生物においても分裂増殖する個体も存在しますが、それらは一度個体を破壊する必要があります。原型を保ちながら増殖する方法はありえないと思えます。

以上の理由でまずバイバインによる倍化は様々な問題が存在するわけです。


第2に・・・倍化する条件です。

 バイバインで倍化する理由を放置するとして、バイバインで倍加する条件とはなんなのでしょうか?
 というのも、作中でのび太は栗饅頭にバイバインをかけ、それを「食べて」います。つまり、栗饅頭の形状を変える&消化しているということです。この条件化において栗饅頭は倍加していません。これは栗饅頭が押入れいっぱいになっているにも関わらずのび太の胃内で増えるという現象が見られないことから明らかにされます。つまり何らかの理由でバイバインは効果を消失していることになるのです。ではその方法とはなんなのでしょうか?
 第1に「形状の破壊」が上げられます。つまり、元の栗饅頭の形が損失された場合に効果が消失すると考えられます。
 第2に「体液による効果消失」です。つまり唾液や胃液といった消化液等によって効果が消滅するというものです。
 どちらも作中では語られていないので事実はわかりませんが、私はこの二つのどちらかではないかと思います。


さて、最後の問題・・・増え続ける栗饅頭はどうなるのでしょうか?

 第2の問題の第1、つまり形状の破壊による倍化の停止が行なわれるのであればこの問題は比較的簡単に解決するでしょう。なぜなら宇宙に打ち上げる際に大気の熱で燃えてしまう、そうでなくても宇宙空間の真空状態に耐え切れず水分が蒸発し、影と日なたの温度差に耐え切れず崩壊してしまうからです。そうなっては元の形状を維持することは出来ず、それによって増殖も停止するはずです。
 問題は第2のほう、つまり体液・消化液によってのみ停止される場合、大気の熱で燃え尽きようが、カチンカチンに凍ろうが増え続けることとなります。
 これはやはり非常に危険です。宇宙がどんな大きさかはわかりませんが、作中で出てくるようにどこかで栗饅頭が増え続ける、なんてことになりかねません。この場合、解決法としては・・・恒星につっこませて消し炭にしてしまうか(それでも消し炭が増え続けることになってしまいますが)、ブラックホールの中につっこんでずっとそこにいてもらうしかないです。これは結構深刻だと思います。


これらのことから導かれる結論・・・それは


欲張っちゃいけないということですな。